イギリスでの就職活動(前編)

海外就職に関して、いろいろなブログやYoutubeを見ていて自分が経験した就活と違うなー、と思うことが多かったので、書いてみようと思います。ネット上に書かれている情報があまり当てにならなかったこともあったので、忘備録も兼ねています。
前提ですが、私はイギリスの大学院で博士号(PhD)を取得しました。在学中は学生ビザ(Tier 4)で滞在し、現在はTier 4 (Doctoral Extension Scheme: DES)というビザで滞在しています。職歴は今のインターンが初めてのものになります。
Tier 4 (Doctoral Extension Scheme)の詳細はこちらから
https://www.ukcisa.org.uk/information--advice/working/working-after-studies#layer-3780
お断りですが、ここでの話はイギリスでの就活になります。日本やイギリス以外の国では就職活動の仕方が大きく異なります。

イギリスの就活基本

基本的な流れは、人材募集広告に対して書類(Cover LetterとCV (履歴書))をメールで送り、書類審査の後に面接、合格の場合はオファーという流れが一般的だと思います。会社や職種によっては追加の書類を提出したり、テストがあるところもあるかもしれません。
面接は会社によって回数や面接者、やり方など大きく異なります。ただ、採用の最終判断をするのはHiring Managerと呼ばれる、入職後の自分の直属の上司または自分のチームが属する部署のトップが行います(採用に関して、人事部の役割は日本のそれとは異なります)。
なお、こちらの就職活動は「自分がこの職種にふさわしい人間である」ことを伝える、いわば自分自身の営業だと言えます。この会社にふさわしい人間、ではないところが日本との大きな違いだと思います。

就活の仕方

大学に在学している場合、在学中に就活をするのは一般的ではなく、卒業後に各個人で行います。在学生と卒業後3年目までの卒業生の場合は各大学の就職課でアドバイスや面接の練習をしたり、各大学に来る求人案内のメーリングリストを購読して自分で応募したりしているようです。
日本だと、「大学の就職課はあてにならない」とおっしゃっておられる方の話を聞きますが、私のイギリスの大学の場合はそうではありませんでした。事実、就職課の方から頂いたアドバイスがとても的確で、非常にお世話になりました。特に履歴書の書き方など日本とは全く異なるので、このあたりのアドバイスはとても参考になりました。
就職課では様々なイベントを行っており、例えば「架空のJob Descriptionとそれに対して応募してきた架空の履歴書」を学生に読ませ、次の面接に呼ぶ応募者を選ばせる、「模擬書類審査」は書類を読むHiring Managerの視線がよく分かってとても良かったです。

仕事の見つけ方

私が経験したものは大きく4つに分けられます。
(1)ソーシャルメディアを活用する
FacebookやLinkedInといったソーシャルメディアを活用し、人材募集広告を見つけるのはほぼ王道です。特にスタートアップはFacebookに人材募集広告を出すことが多いように思います。私もここで見つけた会社に応募したことがあります。
また、LinkedInに登録していると、各会社の人事担当者やリクルート会社のエージェントから「うちでこういう人探しているんだけど」とメッセージが来ることがあります。私は今の会社の人事担当者からLinkedInでメッセージが来て、入職しました。
(2)自分からメールする
これもやったことがあります。人材募集をしていない会社に対して、履歴書とともにメールを送るやり方をProspective Applicationと呼びます。ドイツでは普通だそうですが、イギリスではあまりおすすめされないやり方だそうです。 そもそも、人材募集をしていないところは当然人を探していないわけで、そういう会社に送っても意味がない、という背景があるようです。そのため、成功率は非常に低く、オファーまでたどり着くことは殆どないとか。
ちなみに私はこれでCEOと面接まで行きました。
(3)リクルート会社に登録する
リクルート会社に履歴書をアップロードしておくと、最適な職種やポジションがあった場合に連絡が来ます。連絡を受けたあと、良いと思った職種に応募すると、そのリクルート会社のエージェントと電話で面接があり、うまくいくとクライアント(その職種で人を探している会社)の担当者と面接になります。
(4)人づてでの紹介
たまに聞きます。ごく一部の人たちだけのようで、日本人には関係のない話です。

ビザについて

イギリスで労働許可(Tier 2 (General))を取るのは会社にとっても労働者にとっても大変です。Tier 2を取る場合、まず会社がTier 2で外国人を雇うためのスポンサーライセンスを英国内務省から受けなければなりません。しかし、ライセンス取得のために会社がお金を払う必要があります。
このため、応募条件に「外国人の場合、英国で労働可能なビザ(たいていは永住権を意味します)を持っていること」が条件に付されている募集広告をよく見かけます。多くの場合、外国人はこの労働可能なビザを持っていません。私のDESは博士後期課程修了後1年間のみ有効で、労働許可がついていますが、これでも1年間しか働けないのならダメ。。。と思う会社があっても不思議ではないと思います。
2021年1月以降は法律が変わるようですが、2020年5月9日現在、詳細はまだ発表されていません。

イギリスでの人材募集と採用の考え方

人材の募集は、その会社で事業を行うに当たって社内に適切な人材がいない、あるいは増員する必要がある場合に行います。ものすごく単純な例として、日本市場に参入するために日本語がわかる人材が必要だと判断すれば、日本語がわかる人材を募集するというのが挙げられます(もちろん、これだけで募集はかからないと思いますが)。したがって一斉に新卒採用開始だとか、一斉に選考開始などはありません。そもそも必要のない人は雇いません。そのためイギリスで就活をするときは、ある程度の運も必要になります。
また、選考方針もその人が持っているスキルや経験が事業遂行に必要かどうかが大切なようで、私が今までされた面接での質問もそれまでの経験を問う内容のものが多かったように思います。ちなみに、「あなたを動物に例えると何ですか」のようなぶっ飛んだ質問はされたことがありません(笑)

カバーレターの書き方と面接の内容については次回詳しく書こうと思います。


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